機関誌・MIAニュース
2019年3月6日
2152号- 悪質な広告業者に関する注意
悪質な広告業者に関する注意
会員の弁護士の方から情報提供がありましたので、配信させていただきます。
事案は、求人広告やホームページ製作に関するトラブルであり、要は無料と謳われて求人広告
のインターネット掲載をしたものの、途中で有料に移行しており、相手方からの請求でトラブル
となる事案です。
細部は相手方のやり方によって異なるのですが、基本的な流れは以下のとおりです。
①ある日相手方(業者「以下Y」)から中小企業者(以下「X」に電話があり、求人広告を
無料で掲載しないかとの営業が入る。
②Xは「無料ならば」ということでYの申し出を受ける。すると、Yは「では追って契約書
や確認書面をお送りしますので、これにサインして返送して下さい。」と回答する。
③XはYから送付された書面(契約書等)に署名や押印をして返送する。
④Yは一応契約書どおりに求人広告を出す。
⑤しかし、その契約書には一定期間は無料であるものの、例えば「最初の2週間の広告掲載
料は無料とする。ただし2週間以内に書面にて解約の申し出をしない限り、その契約は自
動更新されて以後は有料となる。」旨の記載があるため、後でYから有料となった後の請
求書が届きトラブルとなる。もちろん、当初の営業ではそのようなことは一言も言及がな
かったため、Xは「無料と聞いていたのに話が違う。」と抗議するが、YはXがサインし
た内容を確認した旨の書面(契約書とともに送付されてくることが多い。)を根拠に「支
払わなければ裁判にする。」と強硬な態度に出る。
基本的には以上の流れなのですが、中小企業者は事業者であるため、いわゆる「クーリングオ
フ」の適用がなく、また相手方業者(Y)は、Xが契約内容を確認した旨の書面を有しているた
め、「話が違う」との主張が裁判となっても裁判所に受け入れられにくいという問題点がありま
す。
すなわち、トラブルになって以降については、相手方に重要な証拠を握られている一方、①の段
階でのやりとりは、いわゆる「言った言わない。」の話になってしまうため、弁護士としても中
小企業者の方(X)に厳しい見通しをお伝えせざるを得ない状況となります。
そのため、現段階では中小企業者の皆様への注意喚起が非常に重要と思い、本情報提供をさせて
いただいたものです。
このトラブルは弁護士会へ寄せられる相談として最近急増している類型となっていますが、幸
いにして宮城では現在のところ目立った件数はありません(そうであるからこそ、これから宮城
がターゲットとされる可能性が高いともいえます。)。
トラブルを起こす業者は上記のような一部の業者であり、広告代理店の大部分がまっとうな会
社であることは誤解ないように付言させていただきます。